本ブログではお馴染みのメーカーズシャツ鎌倉(以下、鎌倉シャツ)。
その魅力は本格仕様に良い意味で見合っていない圧倒的なコスパにあると思うので、普段は比較的リーズナブルな価格帯(7,000円前後)から選ぶようにしているのですが、今回は珍しく少し上の価格帯のシャツを手に取ってみました。
以前から気になっていた「アメリカンシーアイランドコットン」シリーズからの一着です。
鎌倉シャツにしてはちょっと高めのシャツのクオリティは如何に。そして「奇跡の綿花」とも称されるアメリカンシーアイランドコットンとは。合わせてお伝えしていきます。
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奇跡の綿花、アメリカンシーアイランドコットンとは?
服好きであれば一度はその名を聞いたことがあるであろうシーアイランドコットン。大西洋に浮かぶ西インド諸島のみで収穫されている綿花で、「まるでカシミヤのようだ」と評されるように極細の繊維から紡ぐ生地は非常に滑らかな手触りで美しい光沢を纏います。英国の名門ジョンスメドレーのニットウェアで採用されていることで特に有名ですね。
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しかし、その本家シーアイランドコットンは全綿花の生産量に対して数十万分の一しか採取されないという圧倒的な希少さから、市場に出回る量はごく僅かで、かつては英国王室が門外不出にしていたという逸話が残るほど。
幻のコットンを他所でも栽培することは世界各国の夢でしたが、気温・日照時間・降水量・といった気象条件を満たすことができずに苦戦します。そんな中品種改良を行い、いち早く西インド諸島以外でシーアイランドコットンの亜種の栽培に成功したのがアメリカでした。それが1790年代のことで、アメリカンシーアイランドコットンの始まりです。
その後、1800年代にアメリカシーアイランドコットンの生産は隆盛を極めますが、20世紀初頭に害虫による大被害を受け、米国政府主導のもと他品種への切り替えが推し進められていきました。そして1922年以降アメリカシーアイランドコットンは完全に栽培されなくなります。
それから時が流れ約100年後の2017年。ニューメキシコ州立大学で試験栽培を繰り返した後、ついにアメリカシーアイランドコットンが復活しました。その経緯と希少さから「奇跡の綿花」と呼ばれています。
鎌倉シャツのアメリカンシーアイランドコットンシャツをレビュー
概要
鎌倉シャツ創業30周年事業の一環として2021年に登場した「アメリカンシーアイランドコットンシャツ」シリーズ。当初は鎌倉シャツのルーツでもあるオックスフォード生地のボタンダウンシャツのみでしたが、現在ではバリエーションがいくつか増えているようです。
今回私が購入したのはツイル生地のスプレッドカラーシャツ。春らしく淡いピンクの無地です。裏前立て、胸ポケットなし、ボックスプリーツなしと至ってスタンダードなドレスシャツの仕様となっています。
価格は約1万円と鎌倉シャツとしてはちょっとだけ高めですが、そのクオリティと価値を考えれば極めてリーズナブルな価格設定ではないでしょうか。
ディテール
鎌倉シャツのツイルシャツは普段からよく愛用しているのですが、それと比べると明らかに光沢が強く、生地がやや薄手であるため、最初はブロードなのかなと勘違いしていました。ただ、ツイル特有のハリ感もしっかりと備わっているので、ブロードのそれともまた異なります。
また、アメリカンシーアイランドコットンの繊維には油分が多く含まれているため、手触りはしっとりとした質感で、一般的な綿100%のシャツ生地とは少し違い、ウールやカシミヤのような獣毛に近い感じもします。
鎌倉シャツのベーシックラインでは高瀬貝のボタンが取り付けられていますが、このシーアイランドコットンシャツシリーズでは、より高級な白蝶貝のボタンが採用されています。厚みは3mm程度とそれなりのボリューム感。決して「厚ければ凄い」というものではありませんが、これぐらいの厚みがあると見栄えも良いんじゃないですかね。
襟型は身頃に沿い縁を湾曲させているFRANCESEというモデル。これによりノータイで着た時も襟元がきれいに開くようになっています。結構気に入っていて、ここ最近よくこのモデルのシャツを買っています。
袖口はいつも通りベーシックなラウンドカフス。
着用イメージ
現在オーダー中のスーツがブラウン系なので、それに合わせる想定で久しぶりにピンクのシャツを選びました。とりあえず手持ちのブラウンスーツと合わせて見ましたが、目論見通り間違いなさそうですね。
スプレッドカラー(FRANCESE)はノーネクタイで着ても様になります。まずまずですね。
まとめ
前々から気になっていた鎌倉シャツのアメリカンシーアイランドコットンシャツをご紹介しました。
これはなかなか良いですね。いつものシャツより明らかにワンランク上の質感を肌で感じ取ることができます。
唯一洗濯後にシワが取れにくいということがネックにはなりますが、上質なスーツやジャケットと合わるのに相応しいとっておきのシャツもワードローブには何着か揃えておきたいものですね。
今回は以上です。