
毎年何らかのニットを買い足しており、今年は既に少し前にレビュー記事を書いたアレッサンドロルッピのハイゲージタートルネックを購入していましたが、それとは別にピンポイントの条件で欲しいニットがもう1つありました。
具体的な条件としては以下の通り。
- ミドルゲージ
- タートルネック
- 鮮やかすぎない赤色
一昨年にオーダーしたグレージュのポロコート、そしてブログでは未紹介となっている最近手に入れたベージュのジャケットにきっと合うだろうと考え物色していました。
ところがイメージするものが全く見つからない。普通にありそうなものですが、最もネックになっていたのが色味でした。「鮮やかすぎない赤色」と言ってもいわゆるボルドーやバーガンディのような深い色味ではなく、ビビットカラーを避けているだけで、あくまでも普通のレッド(赤)の範疇に収まる色を探していました。ただとうしてもメンズだとその系統は落ち着いたトーンがカラバリに選ばれがちなようです。
この色なら良いかもと思うものを見つけてもミドルゲージではなくハイゲージだったり、タートルネックではなくモックネックだったりと惜しいところで候補から外れていました。
そんな中でようやく見つけたのが本品。MOONCASTLE(ムーンキャッスル)の「CASHMERE SILK WOOL タートルネック」でした。ムーンキャッスルは昨年ハイゲージのカーディガンを購入した大阪発のニット専業メーカーで、ラムウールをベースにカシミヤとシルクを混合したミドルゲージニットも同ブランドの定番のようです。
イメージ通りの色味もそうですが、ラムウールならではの風合いを活かしつつ、上品さの加わった魅力的な一着をご紹介します。どうぞご覧ください。
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ムーンキャッスルについて

大阪南部の漁師町である岬町に自社工場を構えるニット専業ファクトリー・月城。1966年創業で60年近くの歴史を誇る老舗です。長らくレディースブランドのOEMを事業の中心に据えてきましたが、2020年に3代目となる月城 亮一氏の発案により、メンズのオリジナルブランド「MOONCASTLE(ムーンキャッスル)」の展開が開始します。当然ながらそのネーミングは社名および創業家の英語直訳。かっこいい名前で羨ましい。
コロナ禍による取引先からの受注減で窮地に陥る家業を若干26歳で継ぐことになった亮一氏はクラウドファンディングを行い、目標額の1800%(!?)もの金額を集めブランドの立ち上げに繋げたそうです。よくあるファクトリーブランドの1つと認識していましたが、老舗の技術力と経営者の若い感性が融合して生まれたというバックボーンがあったんですね。
「自らが着たいニットを追求したい」と亮一氏が語る通り、デザインは極めてベーシックでありながら、素材や細部の作り込みにこだわったニットは評判を呼び、服好きならその名を聞いたことがある程度には認知度を高めています。
ムーンキャッスルのCASHMERE SILK WOOL タートルネックをレビュー
概要
メリノウールやカシミヤと並びムーンキャッスルの秋冬の定番「CASHMERE SILK WOOL」コレクション。この表記であればカシミヤを中心とした素材のように思われそうですが、実際にはラムウール80%をベースとしてカシミヤとシルクがそれぞれ10%ずつ混紡され、適度に厚みのあるミドルゲージで仕上げています。そして肝はラムウールであるということ。
ご存じとは思いますが、ラムウールとは一般的にウールと呼ばれる素材と同じく羊毛を原料としています。異なるのは毛を刈り取る年齢です。成羊(概ね1歳以上)から取れる羊毛は単にウールと総称されますが、ラムウールの場合は生後6~7ヶ月の子羊の毛が使われています。子羊の毛は繊維が細く柔らかいため、ふんわり優しい風合いが特徴です。肌当たりが良いことから、シェットランドセーターのように起毛感の強いニットで特に好まれます。また、繊維間で空気も含みやすいので、保温性にも優れています。
羊毛を含む獣毛全般は繊維が細いほど光沢を増すということが原則にはなりますが、ウールとラムウールの関係では必ずしもそうとは限りません。というのも未成熟な子羊の毛はキューティクルが不揃いで光が乱反射するため、光沢感はそこまで強くは出ないのです。当然ものによりますが、ラム(子羊)はウール(成羊)と比べるとややマットな質感となります。
そこで効いてくるのがカシミヤとシルクの存在です。「繊維の宝石」「繊維の女王」と称される2つの素材を混紡することで、ラムウール特有のふっくらとした表情でありながら、上品な光沢を纏う生地へと仕上がります。

カラーバリエーションは全7色で展開されており、私が購入しているのは冒頭でも触れた通り「鮮やかすぎない赤色」です。実は表示としてはバーガンディとなるのですが、黒や紫の成分が抑えられていて「限りなく赤に近いバーガンディ」といった感じでしょうか。華やかさもありつつも、合わせやすい絶妙な色味です。
価格は定価で22,000円。カシミヤ混のミドルゲージでこの価格はインポートではまず実現しないでしょう。本当に良心的な国産ブランドですね。
ディテール

ラムウールならではの素朴で柔らかな風合いとカシミヤ・シルクが持つ艶感を両立させた7ゲージニット。空気層を含みやすいラムとカシミヤなので保温性は非常に高くなっていますが、生地の厚みの割には軽い着心地が印象的。
全体的にふんわりとした起毛感はありますが、チクチクするようなことはなく心地よい肌触りとなっています。ただ、毛玉はできやすそうな雰囲気は感じるので、着用後のケアは必須です。

畝のはっきりとしたリブ編みのタートルネック。ネック高は約16cm。高すぎず低すぎないちょうどいい高さです。


ちなみに一般的に首裏に位置すルブランドタグは左側面に付いていました。着心地の面を意識してのことでしょうか。ただ、パッと見て前後が分かりにくいので少し厄介(笑)。

ネックと袖の接合はやはりリンキングが採用されています。

裾と袖口のリブのテンションも緩すぎず、ちょうどいい感じです。
サイズ感とシルエット

身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選んでいるのはMサイズ。身幅には適度なゆとりがあり、多くのイタリアブランドのように着丈が短すぎることもないので、いつものサイズで問題ないと思います。ここら辺は国産ブランドの安心できるところですね。
コーディネート

ジャケット:BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)
ニット:MOONCASTLE(ムーンキャッスル)
パンツ:ORTELO(オルテロ)
鉄板の紺ブレコーデ。シックなトーンに明るすぎない赤がよく映えているかと思います。

コート:FIVE ONE(ファイブワン)
ニット:MOONCASTLE(ムーンキャッスル)
パンツ:五十嵐トラウザーズ
シューズ:Berwick(バーウィック)
このニットを購入する動機の1つとなっていたグレージュのポロコートを使った装い。色味はもちろんですが、起毛感のあるニットが重厚なコートの生地感とよく合っています。ジャケットにもコートにも合わせられるミドルゲージはやっぱり使い勝手が良いですね。
まとめ
紆余曲折ありながらようやく購入に至ったムーンキャッスルのタートルネックをご紹介しました。
昨年、ハイゲージカーディガンをレビューした際、生地に関しては取り立てて持ち上げるような評価はしませんでしたが、このラムウールをベースとしたニットはなかなか見どころがありました。
実はラムウールってそんなに得意じゃなかったんですよね。一歩間違えると野暮ったくなる感じが。そういうふうに思っている方には特におすすめかもしれません。
ちなみに同素材のクルーネックやモックネックも用意されているので、お好みに応じてそちらもチェックしてみてください。
今回は以上です。
