今年の8月に息子が生まれて、私もめでたく子育てパパの仲間入りをしたわけですが、一介の服好きとしては何かと悩まされること多々あります。
中でも最も深刻なのは冬のアウター問題。もさっとした見た目とオーバースペックな点が苦手でダウンジャケットを一切着ない私にとって、冬のヘヴィアウターはウールのコートしか選択肢にありません。
しかし、当然ながらきれいめなウールのコートと子育ては決して相性が良いものではありません。子供を抱き上げれば生地は擦れるし、物によってはデリケートな子供の肌にダメージを与えてしまう可能性もあります。そして何よりよだれは絶対に付く。また、手持ちのコートはどれも2kg前後あるので、今まで気にならなかったその重みが自身への負担になることも考えられます。
トラッドテイストがあるのは大前提として、汚れと擦れに強く、軽くて保温性もそれなりにあるアウター。そう考えて導き出される答えはキルティングジャケットでした。
キルティングジャケット自体は以前から気になっていて、購入を検討していた時期もあったものの、用途が中途半端という理由でいつしか物欲リストからも外れていましたが、子供が生まれたタイミングで私の需要にドンズバで嵌りました。
このジャンルの筆頭であるラベンハムを軸に物色を続けていましたが、最終的に選んだのはMACKINTOSH(マッキントッシュ)の定番モデル「WAVERLY(ウェーバリー)」です。
いくつかの競合モデルがある中、ひときわ洗練されて都会的なキルティングジャケットをご紹介します。もちろん子育て中以外の方にもおすすめですよ。
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マッキントッシュについて
「雨の国」とも表現されるイギリスは、年間降水量はそこまで多くはないものの、1年を通してどんよりとした曇り空が広がり、小雨や霧に見舞われることが頻繁にあるそうです。そのため、わざわざ傘を差さずとも雨水を凌げるレインコートがイギリスで好まれてきたとうい背景があります。そして、そのレインコートの歴史は1823年にスコットランドの化学者であるチャールズ・マッキントッシュが2枚の生地を溶かしたゴムで溶接して防水性を高めたマッキントッシュクロスを発明したことに始まりました。
その防水布を使用したレインコートはイギリス中で流行して、現在に通じるブランドとしての「マッキントッシュ」は1830年に創業。バーバリー(1856年創業)、アクアスキュータム(1851年創業)と共に英国3大コートブランドの一つと数えられ、その中でも最も長い歴史を持っています。
日本では1998年からアパレル商社の八木通商が独占輸入販売権を取得して事業を展開。基本的には直営店を持たず、全国のセレクトショップでマッキントッシュの製品が取り扱われてきましたが、2012年には世界で2番目の旗艦店(直営店)を東京の南青山にオープンしています。
ちなみに当ブログで最もアクセス数が多いのが、マッキントッシュとその関連ブランドについてまとめた記事。結構ボリュームのある記事ですが、未読の方は暇な時にでもご覧になってください。
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マッキントッシュのウェーバリーをレビュー
概要
マッキントッシュといえばゴム引きのステンカラーコート「ダンケルド」があまりにも有名ですが、ダッフルコートやハーフコートなど様々なアウターを取り揃えおり、その中でもキルティングジャケットの「ウェーバリー」も定番としての地位を確立しています。
余談ですが、系列ブランドのトラディショナルウェザーウェアの看板モデルで、同じくキルティングジャケットの名称も「ウェーバリー」です。これはまたややこしいですな。
マッキントッシュのウェーバリーには表生地がウールになっているモデルも存在していて、どちらかと言えばそちらの方が人気があるような気もしますが、私が購入したのはポリエステルモデルとなります。以前であれば確実ウールを選んでしたところですが、冒頭でも述べたように子育てに適したアウターというコンセプトで考えたら当然ポリエステルになってきますね。色気を出してウールにすると台無しです。
ただ、ポリエステル生地といえどマッキントッシュが扱う素材ですので、いわゆる特有の安っぽさは感じられません。この価格帯で化繊を全面的に使った服を買ったことがなかったの、高品質のポリエステルはなかなか新鮮。
カラーはブラックのように見えますが、ダークネイビーです。かなり深い色味なので、質感をごまかせているというのもあるかもしれません。
デザイン上の特徴はコーデユロイの襟とボタンタイプのフロントになります。襟はどのブランドも同じような感じですが、フロントに関してはラベンハムやバブアーのようにスナップボタンを採用しているケースも多いので、マッキントッシュを選ぶ決めての1つとなりました。やっぱりボタンの方がエレガント。
このウェーバリーに限らずですが、キルティングジャケットには果たして冬でも使うことはできるのかという疑問が挙がります。私としてはある程度冷え込んでも活躍するだろうと見込んではいたものの、それでも懸念はしていました。が、それも杞憂。10月末に購入して、気温の下がり切っていない11月中旬から何度か着用をしていますが、想像していた以上に暖かい、というか普通に暑かった。ようやく冬らしくなってきたここ最近で薄手のニットを中に着てちょうどいいぐらいです。
まだひと冬を越していないので、感覚的なことしか言えませんが、インナーにローゲージニットを着て、マフラーをしっかりと巻けば、ある程度の寒さにも耐えられそうです。さすがに雪が降り積るようなレベルは厳しいかもしれませんが。
購入検討する中で、いくつかのキルティングジャケットに触れてきましたが、中綿の量に関しては他ブランドの物より多いような気がしたので、その辺が意外とも言える保温性能を発揮しているのでしょう。実際のところ真冬に長時間外で活動する機会はほぼないので、これぐらいが私にはちょうどいい。
汚れや擦れに強く軽量なポリエステル生地、想像以上で必要十分に暖かい機能性、そしてクラシカルで洗練されたデザインは私が考え得る子育てアウターの最適解です。
価格は59,400円(税込)。ポリエステルのキルティングジャケットと考えれば少し高いけど、マッキントッシュのアウターとしては手頃なようにも感じます。おそらくマッキントッシュの中では最安価な部類となるでしょう。
ちなみにウェーバリーは日本製。私の中では本家マッキントッシュは英国製、ライセンスブランドのマッキントッシュロンドンは日本製で棲み分けていたものと認識していましたが、最近は少し違うみたいですね。
ディテール
高密度に織り込まれたポリエステル生地。化繊100%とは思えない上品な光沢を纏い、緻密な表面は防風性の高さにも寄与しています。もちろん撥水性も良好で、濡れてもハンカチでサッと拭き取れば問題ありません。前項でも述べたようにおそらくキルティングジャケットの中でも中綿の量は多めですが、膨れ上がりすぎない絶妙なバランスで調整されているようです。
コットン製コーデユロイの襟。英国ブランドは本当にこれ好きですよね。
左襟の裏側にはダンケルドのようにチンストラップが取り付けられており、襟を立てて首元で留めることも可能。そのまま垂らしていてもカッコいいのですが、キラキラ光るメタルボタンが場合によっては悪目立ちしてしまう可能性もあるので注意。
ブランドネームが刻印されたボタンは本水牛製かと思いきや、おそらくプラスチック製。価格帯の割りにはややチープな感じは否めませんが、生地の質感に揃えているという可能性もあります。実際のところは分かりません。
実用性とスタイリッシュな見た目を兼ね備えたパッチ式のスラントポケット。左側にはブランドタグが付属。フロントや袖口まで襟と同素材のコーデユロイテープが貼られています。
背面の上部には表地と同系統色のウール生地が付いています。薄手ではありますが、このウール生地が背中を覆うことでだいぶ保温性が高まっているように感じました。
後ろ裾はサイドベンツになっていますが、両端は例のメタルボタンで留められています。普段は留めたままで、そのまま車を運転する時や活動的に動く場面では外すようなイメージでしょうか。
サイズ感とシルエット
説明し忘れていましたが、私が購入しているウェーバリーはビームスFの別注モデルです。とはいえ素材使いやディテールには手を加えておらず、サイズ感の調整のみ行っているそうです。そして、その変更というのも数年前にインラインのリニューアルが成される前のサイズ感を再現しているとのこと。具体的に言うと身幅と肩幅が現行モデルよりゆとりがある設計となっています。現行モデルはもう少し細身なようです。
それを踏まえて、身長173cm 体重65kg 標準体型の私が選んだのはサイズ36です。1つ上の38とかなり迷いましたが、決め手は着用場面を考えてです。この手のキルティングジャケットはスーツやの上から羽織る方が多く、私も最初はジャケットを着てから試着を行っていました。その状態であれば38が正解です(袖丈詰めは必要)。ただ、何度も書いている通り、私は休日に子供と過ごすために購入をしているわけなので、想定するイメージはジャケットではなく、シャツやニットの上からとなります。そうすると38は大きすぎて着心地と運動性を損ない、適度なフィット感のある36を選ぶことになりました。
とはいえ、それはサイズ感にゆとりを持たせたビームスF別注モデルの話であって、インラインや他の別注モデルなら38を選んでいた可能性が高いように感じますので、あくまでも参考程度に留めておいてください。
実際にやる機会はないかもしれませんが、ジャケットの上から羽織ってみました。肩回りが窮屈な感覚はありますが、防寒目的に着る分には問題なさそうです。ただ、少し丈感が気になりますね。ジャケットの裾がはみ出すことはないものの、結構ギリギリです。サイズアップさせたところで大きくは変わらないので、根本的に長さが少し心もとないように感じます。オーバーコートとして使うなら、せめてあと4~5cmは長さが欲しいところです。ニットの上からそのまま着る分には気になりませんが。
コーディネート
アウター:MACKINTOSH(マッキントッシュ)
ニット:Alessandro Luppi(アレッサンドロルッピ)
パンツ:LEVI'S(リーバイス)
シューズ:JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
見せ方によっては野暮ったくなりがちなキルティングジャケットですが、ネイビーでまとめるとそれなりに洒落て見えますね。もちろんウェーバリーのポテンシャルもありますが。11月終盤から12月初めはインナーにハイゲージニットぐらいがちょうどいい。
アウター:MACKINTOSH(マッキントッシュ)
ニット:ZANONE(ザノーネ)
シューズ:CROKETT&JONES(クロケット&ジョーンズ)
ローゲージニットとフランネルのパンツを合わせた冬の装い。これにマフラーをしっかり巻いて防寒対策をしたらたぶん戦えます。たぶん。
まとめ
これから数年間は子育てが生活の中心になると思うので、服装にもそれに適した機能性を求めざる得ません。でも、だからといって大好きなファッションを完全に諦めるつもりは毛頭ありません。
その点、これからの季節のアウターとしては、今回ご紹介したマッキントッシュのウェーバリーは私にとっての最適解でした。
こんな感じで、今までとは少し異なる視点で選んだアイテムも紹介していくことになりますが、子育てで求められる特性(汚れや擦れに強い、軽くて動きやすい等)はビジネスから遊びまで幅広い場面でも有用となるはずなので、多くの方に役立つ情報は発信できるかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
今回は以上です。